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ARM プロセッサーとは

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CentOS Linux からクラウド対応のオペレーティングシステムに移行する方法

CentOS Linux からクラウド対応のオペレーティングシステムに移行する際に、クラウドの取り組みをサポートする OS を選択し、プロダクション・グレードでクラウド対応のオペレーティングシステムを導入することが重要になります。

ARM プロセッサーは、RISC (縮小命令セットコンピュータ) アーキテクチャに基づく CPU (中央処理装置) です。ARM は Advanced RISC Machine の略です。ARM アーキテクチャは、x86 などのより一般的なサーバー・アーキテクチャと比較すると、システムのハードウェアの設計方法に対するアプローチが異なります。

ARM エコシステムは、サーバーに最適化された製品と、クラウド・コンピューティングとハイパースケール・コンピューティング、通信、エッジコンピューティング、および 高性能計算 (HPC) アプリケーション向けに設計されたソリューションによって、ここ数年で知られるようになりました。Red Hat® Enterprise Linux® for ARM が、物理、仮想、およびクラウドのデプロイメントにわたって一貫したアプリケーション環境を含む、信頼性の高い高性能プラットフォームをどのように提供するかについて説明します。

ARM アーキテクチャのユースケースとアプリケーションを理解するには、まず ARM プロセッサーの歴史を理解する必要があります。

アーキテクチャのアプローチとしては x86 が先に登場し、最初の x86 CPU 設計は 1978 年にリリースされました。それは、部屋いっぱいのサイズの巨大なメインフレーム・コンピュータの時代でもありました。テクノロジーが「マイクロコンピュータ」(PC) に向けてモダナイズされるにつれて、高性能と設計の小型化を実現するコンポーネントの構成方法を特定することが課題になりました。1980 年代初頭、Acorn Computers はマイクロコンピュータを設計しましたが、チップの設計でパフォーマンスの限界に直面しました。

同じ頃 (1981 年に開始)、カリフォルニア大学バークレー校ではコンピュータチップによるリソース使用を評価するプロジェクトが行われていました。処理装置では、命令セットと総称される特定の操作が事前に定義されています。オペレーティングシステムとプログラムの実行には、これらの命令セットが使用されます。バークレー校のプログラマーが発見したのは、ほとんどのプログラムが命令セットのごく一部しか使用していないということでした。事前に定義する命令の数を減らし、複雑で実装が難しい (そしてほとんど使用されていない) 命令を削除すれば、残りの単純な命令がより迅速に実行され、消費電力とチップ上のスペースが大幅に削減されることになります。これは、RISC (縮小命令セットコンピュータ) アーキテクチャと呼ばれます。x86 は、CISC (複合命令セットコンピュータ) アーキテクチャです。RISC と CISC はどちらも命令セット・アーキテクチャと見なされます。

ユビキタスな x86 設計のような典型的なサーバー・アーキテクチャには、交換可能なコンポーネントを搭載したマザーボードに基づくモジュール式のアプローチが採用されています。CPU やその他のコンポーネント (グラフィックスカードや GPU、メモリーコントローラー、ストレージ、プロセッシングコアなど) は、特定の機能向けに最適化されており、簡単に交換または拡張できます。しかし、この使いやすさには代償が伴います。これらのハードウェア・コンポーネントは通常、より均質化されたシステム・アーキテクチャであるため、ハッカーは「一度書けばどこでも実行できる」エクスプロイトでシステムをすばやく侵害して攻撃することができます。

ARM ベースのプロセッサーは、異なるアプローチを採用しています。処理装置をその他のハードウェアから分離するのではなく、CPU コアが集積回路の物理プラットフォームの一部になっています。他のハードウェア機能 (PCI のような I/O バスコントローラーなど) は同じ物理プラットフォーム上にあり、さまざまな機能はすべて内部バスを介して統合されています。このようなコンポーネントが同じ集積回路上に配置されている場合、それはシステムオンチップまたは SOC と呼ばれます。

この適応性と統合が、システムに ARM プロセッサーを選択する主な動機となっています。x86 アーキテクチャ用の AMD プロセッサーやインテルプロセッサーとは異なり、ARM プロセッサーのメーカーはありません。Arm Holdings が一定のパフォーマンス・ベンチマークを使用して、さまざまな専門的な目的や最適化のために順次 ARM プロセッサー設計のライセンスを供与し、ハードウェアメーカーがそれらの設計を採用して、特定のデバイスに適合させます。

ある意味では「ARM ベースのプロセッサーとは何ですか?」という質問自体が ARM ベースのプロセッサーのポイントを見逃しています。ARM ベースのプロセッサーを使用する場合はシステム・アーキテクチャが異なり、システムパフォーマンスと接続性に対する基本的な優先順位は異なります。

サーバー市場では x86 の方が一般的ですが、ARM アーキテクチャは世界で最も一般的な電子設計です。ARM アーキテクチャは、ほとんどすべてのスマートフォン設計のほか、小型のモバイルデバイスやノートパソコンでも使用されています。

x86 チップがパフォーマンスを最適化するように設計されている一方、ARM ベースのプロセッサーは、小型化、低消費電力、低発熱、速度、および潜在的に長寿命のバッテリーと、コストとのバランスを取るように設計されています。

Arm Holdings はハードウェアではなく設計を販売しているため、ハードウェアメーカーは小型、高性能、エネルギー効率を維持しながら、特定の要件に合わせてマイクロアーキテクチャをカスタマイズできます。これには長所と短所の両方があります。Linux、Windows、Android などのオペレーティングシステムがより広範なハードウェアをサポートする必要があるということでもあるからです。

ARM アーキテクチャは、小型のモバイルデバイスだけに使用されているわけではありません。富士通と理研が設計した、世界最速のスーパーコンピュータの 1 つである富岳は、ARM プロセッサーを使用しています。富士通は、自社のスーパーコンピュータ用に独自の ARM チップを設計しましたが、ARM は HPC アーキテクチャ用の設計プロファイルも提供しています。サイズの縮小、消費電力の削減、発熱の低減 (さらなる冷却の必要性を低下) により、ARM システムを使用して、HPC およびクラウドフリート (Amazon Web Services GravitonMicrosoft Azure など) のノードまたはクラスタの作成を始める組織が増加しています。Arm Compiler for Linux ツールチェーンは、HPC アプリケーションの開発用にカスタマイズされています。既存のアプリケーション、ユースケース、ARM プロセッサーを統合する場合は、それらの間の互換性を評価することが重要です。

ARM アーキテクチャを使用することで、ハードウェア設計者は設計とパフォーマンスだけでなく、サプライチェーンもより詳細に制御できます。この制御とパフォーマンスの組み合わせは、小型の消費者向けデバイスにとっても大規模なコンピューティング環境にとっても魅力的です。

ARM アーキテクチャでは、長い間 Linux オペレーティングシステムが (特に、Raspberry Pi ボードや、Samsung や Apple のスマートフォンなどのデバイスで) 使用されてきました。しかし、ARM プロセッサーと Linux には、名高い開発の歴史があります。ARM 設計は同じメーカーまたはモデル内であっても一貫性がないため、すべての ARM 設計に独自のカスタム Linux カーネルビルドが必要だったのです。これは 2012 年、Linux カーネルのコミュニティが ARM SOC のマルチプラットフォーム・サポートを Linux カーネルに追加したことで変わりました。

Arm Holdings は、Linux サーバーとワークステーションをサポートする特定のアーキテクチャ、SystemReady シリーズを定義しました。このアーキテクチャはハードウェア、ファームウェア、ブート要件、およびセキュリティの仕様を定義します。Red Hat Enterprise Linux for ARM は、Arm SystemReady SR で認定されています。SystemReady アーキテクチャの目標は、テクノロジースタックのすべてのレイヤー (オペレーティングシステムから始まる) が確実に機能するようにすることです。

コミュニティは、ARM 設計の重要な要素です。Red Hat サブスクリプションのメリットの 1 つは広範なハードウェアベンダーです。これらのベンダーはコラボレーションを通じた開発実績があり、デプロイメントがテストおよび認定されています。こうしたベンダーには、ARM ハードウェアメーカーおよび設計者が含まれます。ARM はハードウェア設計自体と密接に結びついているため、Red Hat Enterprise Linux には、新しい ARM 開発を評価するためのハードウェア・エコシステム・ベンダーとの早期アクセスプログラムがあります。

ARM コミュニティに対する Red Hat の投資と、オープンソースでエンタープライズ仕様のライフサイクル、セキュリティ、およびパフォーマンスにより、Red Hat Enterprise Linux は ARM ワークロード向けの優れたプラットフォームになります。

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